【エッセイ】「海辺のカフカ 上」をいつまでも借りているあなたへ

海辺のカフカ 上」を借りているあなたへ


お身体の体調はいかがですか?


ぼくはちょっと前から村上春樹の作品を読破しようと思い、彼のデビュー作である「風の歌を聴け」から執筆順に長編を読んでいます。合間に短編集も読んでいます。

基本的には図書館で借りることにしています。2週間に1回のペースで通っています。

1か月ほどまえ「スプートニクの恋人」を読み終えました。なのでその流れで「海辺のカフカ」を借りようと思ったところ、文庫本の棚には「海辺のカフカ 下」しか見当たりませんでした。


誰か僕みたいな人が上巻だけ借りてるんだなあ、と思い、ハードカバーの棚を見てみました。


やっぱり、「海辺のカフカ 下」しか見当たりませんでした。デジャヴュ、と思いました。

でもそのときは、「上」だけ借りているということは、あなたが読み終わったらきっとすぐに返すだろうと思い、予約はしませんでした。


それで、2週間後に図書館に行きました。今度こそあるだろうと思い、「む」の棚を覗きました。


意外にも「海辺のカフカ 下」しか見当たりませんでした。もちろん、ハードカバーの棚も同じでした。


やっぱり予約しておけばよかったと後悔しました。まさか、あなたが延滞するなどとは思ってもいなかったからです。


それでも予約はしませんでした。なにか意地のようなものが出てしまったのかもしれません。悪い癖です。


そのまた2週間後までの間にぼくは本屋に行き、ピカピカの「海辺のカフカ」を眺めました。


それで、先週の日曜日、やっぱり図書館には「海辺のカフカ 下」しかありませんでした。










え、どうしたんですか?

日々お忙しいことはわかっています。でも、ルールはルールですよね。


というか、はじめに「海辺のカフカ 上」を借りていたあなたは、今もあなたのままですか?


もしかして、あなたが「上」を返したそのすきに別の誰かが、上だけ借りたということですか?



だとしたら、なんで「下」を借りないんですか?もしかして、上を借りたのはよかったものの、途中で読むのやめちゃったから「下」はいらなくなったんですか?わかります。痛いくらいわかりますよ。僕も同じようなこと何回もやってきましたから。



下巻って不遇ですよね。



でも、「下」だけ残っていると何かしら希望が見えてしまうんです。



村上春樹って、執筆を重ねるごとに、物語が進化していくというか、明らかに作家としての力量がインフレしているのを感じられるのが良いですよね。


だから、どうしても執筆順で読みたいんです。「海辺のカフカ」を読まないと、「1Q84」や「色彩を持たない多崎つくる」が読めません。


もしかしたら「そんな読みたいんだったら、買えばいいじゃん」と思われるかもしれません。でも今買ってしまったら、僕がこれまで待っていた1ヶ月間には、どのような意味をもたせればよいでしょうか?


もしこの記事を読んで、「私のことだ」と思いましたら、速やかに最寄りの図書館に「海辺のカフカ 上」をご返却いただけますと幸いです。


よろしくお願いいたします。


僕より