【エッセイ】村上春樹作「東京忌憚集」の朗読と非日常的な偶然との遭遇について

Amazon Audibleで村上春樹の「東京忌憚集」がリリースされました。

 

 

イッセー尾形さんによる朗読はクセになる

朗読はイッセー尾形さん。日本における一人芝居の第一人者と呼ばれているそうです。

 

渋い声で、この本に登場する個性溢れる人物たちを声だけで豊かに表現しています。特に顕著なのが会話のうまさで、なぜかわからないんですが、本当にその人がいるように聞こえるんですよね。不思議です。

 

やみつきになりそうな朗読でした。

 

 

偶然の旅人

この本のはじめは、「偶然の旅人」という短編で、これは主人公が出会った人々が体験した奇妙な偶然を描いています。

 

日常生活を送っていると、ある意味では物語よりも数奇な偶然に出会うことって、ありますよね。

 

実は少し前、僕も奇妙な偶然の一致に遭遇しました。

 

その直後に本作に出会って、なにか運命めいたものを感じずにはいられません。

 

というわけで、本の感想はここまでにして、今回は僕が出会った偶然についてお話させてください。

 

 

奇妙な偶然の一致

それは先月のことでした。

 

僕は娘たちと東京ディズニーランドに出かけました。娘にとっては、はじめての夢の国です。

 

 

まだ3歳なので、記憶に残るかどうかはわからないですが、はじめてみる等身大のウッディー(デカい)を見て、「ポカーン」という表情を浮かべていました。


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そもそも彼女はトイ・ストーリーを見たこともないし、「誰なんだぜこのでかいボーイは」という状態だったと思いますが、それはウッディーにとっても一緒でしょう。

 

当然ながらトイ・ストーリー世代である僕は、彼を見つけると急にテンションがあがって、「ウッディ~~!」と叫んでいました。

 

で、その後ろにウッディーの妹分がいて、その子の名前も叫びたかったのですが、いざ叫ぼうとしても彼女の名前がどうしても思い出せず、

 

「・・・ッ妹~!」と変な感じになってしまいました。

 

妻に彼女の名前を聞いたところ、「知ってるよ」といいながらスマホで検索して教えてくれました。

 

それで、娘をなだめすかしながらホーンテッドマンションに乗せるなどして、夢の国を十分に満喫したあと、僕たちはおみやげを買いに行きました。

 

 

おみやげ屋は、人でごった返していました。ちょっとでも目を離すとすぐに迷子になってしまいそうです。

 

 

娘はまだディズニーグッズを持っていなかったので、なにが欲しいか聞いてみました。当然、プーさんのぬいぐるみなどを欲しがるだろうと踏んでいました。

 

娘に手を引かれながら、プーさんの値札を盗み見ては、ウォルト・ディズニー・ブランドのパワーに打ち震えていました。

 

その結果、これがほしいといいました。


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へえ?

 

これ。色々あるなかで。これ。

 

値段はたしか600円くらいだったと思います。

 

なかにはカラフルな何かが入っていて、振るとシャカシャカと音が鳴ります。その音が気に入ったようです。

 

101のシャカシャカ棒と一緒に、僕は姉と甥っ子にウッディーやバズライトイヤーの絵が入ったお菓子の詰め合わせを買いました。

 

お菓子は無くなるから貰っても迷惑にはならないだろうという魂胆です。

 

その帰り道、娘はシャカシャカ棒を狂ったようにシャカシャカさせていました。それはまるで、祈祷する神主のようでした。何かに取りつかれたかのように、猛然とシャカシャカしていました。

 

あまりにも強く振るので、壊れるんじゃないかというイメージが頭の片隅をよぎりました。

 

そして、それはしっかりと現実となりました。

 

シャカシャカ棒は家につく前に壊れてしまいました。娘はとても悲しそうな顔をして僕を睨みました。かわいそう、と思いました。

 

 

おみやげを渡しに

後日、姉の家におみやげを渡しに行きました。

 

例のウッディーのお菓子セットです。

 

家にあがってテーブルの上をふと見ると、風船のついた棒があります。どこかで見覚えがあります。

 

ウソ、と思いました。

 

そこには、例のシャカシャカ棒が置かれていたのです。


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混乱しました。なぜ、姉の家にシャカ棒が。

 

そこへ、台所からやってきた姉が言いました。

 

「こないだディズニーいったから、おみやげにと思って買ってきたの」

 

これには娘もびっくりしていました。よく状況が呑み込めないようです。

 

姉も混乱していました。おそらく僕らがあまり嬉しそうな顔をしていなかったからでしょう。

 

無数にあるお土産のなかで、よりによってシャカ棒がカブるとは思いもよりませんでした。

 

僕が事情を話すと「えっ、うそ、かぶっちゃった?」と心配そうな顔をしたので、「あ、でもその日のうちに壊れちゃったから、ちょうどよかった」というと安心していました。

 

それで、今度はぼくの番です。

 

ぼくはウッディーのお菓子セットを渡しました。

 

姉が驚く番でした。

 

「うそ、これわたしも買ったんだけど」

 

「え、かぶっちゃった?」と僕がいうと、「あ、でも食べちゃったから大丈夫」と姉は言いました。

 

まさかの「双方のおみやげがカブり、どちらのおみやげも無駄にはならなかった」という事象が起こったのです。

 

これは一体どのくらいの確率でおこるのでしょうか。

 

不思議です。この強運はもっと別のところで使いたいところでしたが。

 

娘は前回よりも控えめにシャカ棒を振って遊んでいます。

 

学習したのでしょう。

 

 

以上が、リアルな生活ではあまりない非リアルな体験の顛末でした。

 

 

それにしても、イッセー尾形さんの朗読はよかったです。実はまだ全部聞けてないんですけどね。

 

おしまい。